Mさんたちは、新たにローンを組めない人もマンションに「戻れる」方策を練った。そこで目をつけたのが「定期借地権」利用だ。開発業者にマンションの土地をすべて売却し、再建したうえで住民が三〇〜五〇年間の期限を定めて住戸を使うという方法だ。期限を決めて土地を借りる形になるので「定期借地」だ。土地を売ったお金を再建費に充てれば住民負担が減り、月々の支払いも抑えられる。なんとか、全員、わが家に戻れるのでは、と望みを託した。
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一方の開発業者は土地の買い取りに資金を投じる代わり、安定的な定期借地権料が入ってくる。借地の期限がくれば土地を更地にして売買できる。長期的な視点に立てばメリットがあるはずだ。Mさんは、民間のデベロッパーでは難しくても公益性のある法人なら提案を受けてくれるかもしれないと考え、(財)首都圏不燃建築公社にかけあった。不燃公社は震災などの災害から都市を守り、不燃の建物の高層化や再開発で国民福祉を増進することを設立目的に掲げている。国が耐設偽装は「震災級」の被害を与えたと認めているのだから、ここは不燃公社の出番だろう。過去に渋谷、豊島、台東の各区で定期借地権による建て替え作業を行なっている。Mさんは不燃公社にかけあった。だが……「最近、そういうことはやっていません」とけんもほろろに断られた。