すでにあるオリジナル作品をもとにして、別の作家が新たに改編したバージョンをつくることをリメイクという。音楽や映画のリメイク作品は昔から数多くある。近年の映画でいうと、アランードロン主演の『太陽がいっぱい』をリメイクしたマットーデイモン主演の『リプリー』、『ラージュテ』をリメイクしたブルースーウィリス主演の『12モンキーズ』、『氷の微笑』で有名になったシャロンーストーンが、体当たりの演技でリメイク版に挑戦し、強い母性に目覚めるギャングの情婦を熱演した『グロリア』などが有名である。
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建築の分野でいえば、建築家の建築面積九坪の家「スミレアオイハウス」(一九九九年)が、この種のリメイクの一つとして目を引く。建築家のデザインしたこの作品は、戦後の最小限住宅として有名な、建築家・増沢洵の「旧自邸」(一九五二年)をリメイクしたもので、東京郊外にあるこの「スミレアオイハウス」には、夫婦と子供二人の四人家族が暮らしている。ここではオリジナルである増沢の旧自邸が構造や規模、階段の配置などはそのままに再現されたあと、全体が新しい現代の最小限住宅として仕上げられているのだが、オリジナルの増沢邸が木の伝統的な味わいを強く残していたのに対し、リメイクである建築家のデザインは、建物の内外ともに「白」で統一し、増沢のものよりも新時代らしい軽やかさをあらゆる意味で強調したものとなった。このあたりは、単に旧作と新作におけるデザイナーの考え方の違い以上に、伝統論争が盛んだった一九五〇年代と現在との時代感覚の違いが色濃く出ていて興味深い点だ。