改正前の旧区分所有法六二条一項では、建物が老朽し、修繕のために多大の費用を要するときに限って、区分所有者と議決権数の五分の四の賛成で建替えができるとしており、建物が老朽していると判断されない場合は全員一致の賛成を必要とした。したがって、建替え計画の当初には老朽は問題にならず、全員一致の任意建替えを目指していたのである。ところが、建替え計画が始まって以来、管理組合は建物の積極的な建物修繕を止めてしまったので建物の劣化が急速に進行し、外観上、建物のいたるところにひびわれが出てきたり、外壁を仕上げている塗料がはがれたりしてきた。
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そこで、建替え計画の発端から一〇年経過した時点で、管理組合は建物が老朽したことを理由に、旧区分所有法六二条の規定にしたがって、五分の四の建替え決議に踏み切ったのである。これらの経緯は建物が老朽していく一側面を示している。老朽は適切なメンテナンスを施さないことから発生する。桂離宮の場合も、幕末に勤王の志士の宿舎になったころは十分に老朽していたわけで、国の重要文化財としての価値の付与がおこなわれ、数度の解体修理がなければ現在の姿はなかった。建物は定期的なメンテナンスを施さなければ老朽し、やがては朽廃にいたるのである。